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皆さん、こんにちは。佐倉研究室の青島です。
遠野未来建築事務所代表の遠野未来さんと佐倉研究室で、新たなプロジェクト「信州土プロジェクト(仮)」が始動しました!今回はその打ち合わせも兼ねて、遠野未来建築事務所による、長野県軽井沢町の別荘「Shell House/ The language of forest」を見学させていただきました。
高い蓄熱・調湿能力を持つ環境負荷の少ない「土」を用いて、時代を超えて美しさを失わない住まいを作られる遠野さん。穏やかな立ち振る舞いからも自然の環境、施主や工務店の職人たち、全てに真摯に向き合う彼の優しさが感じられました。
現地に赴くと、木々の間からアスファルトシングルが葺かれた丸い卵のようなフォルムが現れます。大地から浮遊するような形は、大地のエネルギーの流れが地上に現れた姿を現しているそうです。木造在来工法と木造シェル構造のよって建てられたこの住宅は壁厚が最大40cmになる部分もあり、それをアールを持つ独特な開口形状へと昇華させています。
景観法、既存樹木、隣地の形状、敷地沿いを流れる水路など、多くの条件を考慮しながら熟考した末に必然的に導かれた形状が、設計の初期段階からほとんど変わることなく実現されていることに感銘を受けました。
理想の空間をつくるために、建具や壁の収まりを何度も考え、職人たちと議論しながら設計と施工を行なったことが、内部の空間と緻密な図面、模型から伝わってきました。特に土壁の一部にあえて残された美しいキズリは、壁の柔らかな形状を実現させようとする熱量と職人に対する敬意が感じられ、とても印象的でした。
隅々まで抜かりなく考え抜かれた空間は、そこにいる者に心地よさと安堵感を与えます。建築設計を志す者として非常に勉強になる時間を過ごさせていただきました。
ありがとうございました。
以下、遠野さんのプロフィールになります。
遠野未来 Tono Mirai / Profile
1962 仙台市出身
1988 早稲田大学大学院建築学科修士課程修了
1988~1992 設計事務所勤務、以後フリーで設計活動
1995 遠野未来建築事務所設立
1999 東京・神田に事務所兼住居土壁の家「神田SU」をオープン
日本と海外で土の空間づくりを行う
2016 土に根ざした生活をめざし、事務所を軽井沢に移転
写真・文 / 青島