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【24年度第3回読書会】いい塩梅でサバイバル

こんにちは!日置です。
佐倉研究室では年に数回、読書会という会を開いています。
それは学生と佐倉先生が、一つの本、一つのトピックについて話し合うなかで今後の研究室活動であり人生に生かしていこうというものです。

そんな読書会ですが、今年に関しては、いつもお世話になっている外部のゲストをお呼びして、その方に課題図書を設定していただくという試みをしています。

今回お呼びしたゲストは、寺島純子さんです。
寺島さんは、我々のフィールドの一つである信州新町信級で毎週末「食堂かたつむり」を営業されています。
今年は修士2年六車さんが信級に滞在し、毎週末、他の学生も信級に通っていたので、寺島さんには大変お世話になりました。
食堂かたつむり。山の幸が堪能できます。行ったことがない方がいればぜひ。

寺島さんは平日には出版業をされていて、飯綱に住まわれています。
寺島さんが直近で出版に携わられて、今回課題図書にも設定していただいたのが、内藤いづみ著「いい塩梅でサバイバル」です。

ホスピス医である内藤いづみ先生が、様々な方の死と向き合ってきた体験談が書かれた100ページ程度の読みやすい本でした。
学生からの感想としては、自身の両親や祖父母と重ね合わせて読んでいた人が多かった印象です。
さらには、「死を考える。」ことはすなわち「残りの生き方を考える。」という思考の転換が前提のなっていることに共感を示した意見が多く出ました。

この本のタイトル「いい塩梅でサバイバル」を、この会のテーマとして次のように解釈しました。
「いい塩梅」・・・余白のある判断が生む、民主的・人間味のある非科学的な決定
「サバイバル」・・・「死に方を考える」≒「生き方を考える」

この会の前半は、寺島さんのこれまでを「信級と寺島さん」「食堂かたつむり」「出版」という3つのテーマで語っていただきました。
出版業を通じて数々の著者に出会い、限界集落と言われる信級で食堂を営み、数々の物語を経験されてきた寺島さんの生き方そのものが「いい塩梅でサバイバル」を体現してきたと言えます。
「2000年ごろ、参加者全員が納得するまで話し合いきっていた信級のとある委員会」の話。
「JAFが来なくとも車を救ってしまう信級の人々」の話。
すべての話が楽しく、ためになりました。

この会の後半は、今回のテーマ「いい塩梅でサバイバル」についてのディスカッションです。
まずは、「いい塩梅」を考える。
0 , 1 で決めない「余白」があるからこその豊かさ。人や自然との繋がり。が「いい塩梅」という言葉には含まれています。
そんな世界観が必要な場面をみんなで考えました。
分からないことがあればすぐにネットで調べられる時代。不便さ、不都合を受け入れること。
「いい塩梅」すなわち「寛容さ」「受容性」は今の佐倉研究室にこそ求められているのではないか。
そんな話にもなっていきました。

次に、「サバイバル」を考える。
「死に方を考える」≒「生き方を考える」として、都市や建築に置き換えて、その生き方について議論していきます。
農村部は都市部と比べてインフラ上独立していて、そこに付随した強いコミュニティも形成されるため、災害時にはむしろ生き残るんじゃないか。
都市部にはヒト-ヒトのつながりは既に強いが、ヒト-モノ-ヒトといった繋がりがより必要になるのではないか。
と様々な意見が出てきました。

読書会が終わると、すけろくガーデンのシェアハウスに行き、寺島さん含めてみんなでお好み焼きパーティーです!
さすがは食堂のおばちゃん。ゲストなのに手際よくお好み焼きを焼き切ってくれてしまいました。おいしかったです。


寺島さんのことも少し知れて、ちょっと真剣に考えて、おいしいお好み焼きを食べられて。
とても楽しい一日でした。

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