屋上活用プロジェクト
クライアントは、百貨店の再生事業として多世代に向けて「界隈性」「居心地」を重視したローカル志向の百貨店を目指しており、その一助として現在使われていない屋上を開放することが求められました。 to be architects の香川翔勲さん、STUDIO HATAKEの吉武駿さん、畠田恵さんと協働し、「長野市らしさを感じることができる屋上」を追求し、屋上広場の計画を進めています。
長野の中心市街地を歩いてみると、緑は想像より少ないですが、対象敷地の屋上では、長野らしい雄大な山々を近く感じました。
本プロジェクトでは、長野らしい山々を身近に感じる緑豊かな環境として屋上広場を整備します。また、百貨店の「購入体験の場」に対し、屋上広場を「ゆとりある滞在の場」として位置づけ、百貨店に立体的な回遊性を創出し、人の新たな流れや滞在の場を創出します。
対象敷地は、かつて屋上遊園として使われた履歴があり、にぎやかな風景を形成していました。
本プロジェクトでは、かつての屋上のように、思い思いに場所を選択してゆとりをもって過ごす風景を想像し、屋上に連続する「木の環」を計画しました。「木の環」は、長野らしい自然を風景として切り取り、日陰をつくる環境装置としての役割を持ちます。また、人や植物が自由に振る舞う拠り所となります。
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本提案は、屋上広場に大小異なる「木の環」と呼ぶ構造体を連続配置させた提案です。
木の環は音楽における、五線譜のような存在です。五線譜自体は音を奏でないですが、音符を置くための基準であり、メロディを奏でるために不可欠なものです。
木の環は、植物や人が音符のように振る舞える拠り所となります。円環が持つ形態性や円環が連続することによって生まれる「滞在性」と「回遊性」により、過ごす場所を思い思いに選択することができます。また、木の環の足元には、ベンチとプランターが一体となった什器を計画することで、緑を身近に感じ、ゆとりをもちながら過ごすことができる場所となります。また、木の環が連続することで、構造体が屋上を囲む山々への眺望を窓枠のように切り取り、長野らしい自然をより強調します。