PROJECT
2018年春から始動した3つ目のプロジェクトです。テーマは「人と動植物の共存」と「ヤギと竹による循環」です。
ヤギ(ぜんちゃん)と3世帯でシェアする畑(シェア畑)を介して、地域コミュニティーの核となるセミパブリックスペースの形成を目指しています。
家の前の空き地にヤギ(小屋)とシェア畑を配置することで、予想もしなかった化学反応が起こり始めています。ぜんちゃんを見にきた老人がシェア畑を見て育て方の助言をしてくれます。子供達がシェア畑の腐りかけたトマトをぜんちゃんにあげる微笑ましい光景が繰り広げられています。近所に住む高齢者の皆さんが、ぜんちゃんのために野菜を持って来るついでに、親である私と妻やシェア畑のメンバーにもお裾分けしてくれます。
ぜんちゃんにとって心地良い環境、野菜が成長しやすい環境を作ることが、結果的に私たち人間にとっても心地良い場所の創造へと繋がると考え、空間を構想しています。
ヤギは循環動物と言われ、庭の草を食べ、排泄し、それが肥料となり土が肥えます。散歩し、地域の空き地の草を食べることで、その循環効果は敷地外へも広がって行きます。そこに更に裏山から採取できる竹を掛け合わせます。これはまだ構想段階なのですが、竹により、デッキ、ヤギの柵、灌漑水路、支柱、ヤギの遊び場などを作り、老朽化した竹は燃やして竹炭にして土へと帰すことで、土が益々肥沃になります。敷地内のみでなく、裏山の竹藪のメンテナンスにも繋がります。
一見繋がりそうにないヤギと竹ですが、両者とも農業にとってとても相性の良いものなのです。
この敷地は、1年前まで近所に住む高齢者の方が畑として利用していたのですが、体調を崩して手放し放置されていた空き地です。
2018年春に、まず3世帯によるシェア畑を造ることから始めました。
プロジェクト代表者の佐倉は、施主として隣接する家に2017年冬から住んでいます。
窓から対象敷地を眺めているうちに、この敷地に面する通りは、子供達の通学路、高齢者の方々の散歩道として老若男女問わず多くの方が利用している事に気付きました。また車が通るのに困難な細街路に囲まれています。そうした条件はヤギを飼うのに最適でした。
ちょうどそのタイミングで、ここから車で30分程度の位置にある七二会村の「あだむさんち」で子ヤギが産まれたとの連絡があり、引き取る事になりました。そのような経緯で、この敷地にヤギのぜんちゃんがやってきました。
ゴールデンウィークに仲間達と一気に小屋を作り、ぜんちゃんウェルカムパーティーも開催しました。メディア掲載の効果もあり、徐々に地域の方々に知られる存在になり、今では毎日多くの方が遊びにきてくれる場になっています。(プロジェクト代表者:佐倉)