PROJECT
「すけろくガーデン」は研究室として、最初のプロジェクトの実施の場です。テーマは「空き家の減築」と「廃材の利活用」です。
空き家減築を行い、街路・空き家・裏庭の連続を生み出すように部材の再構築をすることで、裏山の秘密基地のような空間を作ることを目指します。
対象の空き家は、築120年以上も経ったかなり老朽化の進んだ建物だったために至る箇所に雨漏りやカビ、部材の腐朽などが多数に見えたこと、また、建物と庭の関係が悪く、暗くとじた空間になっていたことから、減築という回答が生まれました。これは学生だけの力ではなんともできないところが多く、外部の方の協力をいただきながら、2018年6月の4週に渡って毎週木曜日にワークショップ的に行いました。結果的に庭と建物の良好な関係性と、建物内の環境の改善のために良い結果となりました。
前述の減築により、廃材が得られることを考え、その廃材を利用するために解体の際、部材をなるべく生かすように取り出して行きました。床を取り外した際に得た大引は、壁を抜いたことによる構造の補強材として柱にしたり、根太は屋根の垂木にしたりと、材料の用途のスケールを少し下げながら活用しています。また、部材とならない小さな廃材は炭としての活用をメインとして考えています。畑に混ぜて、土壌改良のための肥料のような材料、燃焼用の材料として変換します。
これからの展開としては、廃材で建物内外に構築物を作りながら、地域を取り込むような居場所が作れたらと考えています。
01.均質な2つの空間が並ぶ空き家
02.片側を土間にすることで、明確な入り口と作業場ができます
03.空き家と庭、空き家と土間、空き家と近隣の関係を作るように園側を掛けます
04.それぞれ隣接する室や場所の性格に合わせて機能を拡張していきます。
01.空き家の不要となった部分を解体します
02.使える部材と使えない部材を分けます
03.使える部材は家具として再利用します。
私がこの地域に初めて足を運んだ際に、隣家との敷地の境界が極めて曖昧で、密接に家が建っていること、住民が野菜のおすそ分けを行っている姿がとても印象的でした。敷地は少し裏に立地していて、人はあまり入ってこないように感じました。すけろくの活動によって、地域の方に何かを発信していけないか、境界を無くして気軽に立ち寄ってくれる場所にはならないかと感じました。そこで、プロジェクトのコンセプトを”たんぽぽ”としました。
タンポポは綺麗な花を咲かせたあと、枯れると同時に綿毛を飛ばし、次の春また花を咲かせます。そして、綿毛は別の場所で新たに芽吹きます。
そんなたんぽぽの営みは、「かつてたくさんの家族が暮らし時が経つにつれ、使われなくなった空き家に対して減築をし、廃材を畑や小さなスケールのものに循環させる。減築されたスペースが空き家と空き地を繋げ、新たなカタチで空き家がまた人が集まれる場所になる。」という今回のプロジェクトに似ていると思います。
そして、たんぽぽの語源の「たんっ」「ぽぽっ」と鼓を打つように、ここでの活動がチキにリズミカルに波及していく。そんな場づくりをやって行きたいと考えています。(プロジェクト代表者:伊藤一生)