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カシニワ制度の先駆け!遊休地を地域交流の拠点に!

都市空間デザイン

現地で自由の広場での取り組みを取りまとめる新若柴町会の町長さんへのインタビューを行った。インタビュー内容から都市計画的視点で語られた部分を抜粋し記述したい。

 

◯点

自由の広場は、柏市の空き地や緑地・樹林地を活用する「カシニワ制度」の第1号であり、2010年に開設された。

自由の広場が開設される以前は、私が所有するこの土地は建設廃材置き場として使用されていた。この時期は雑草が生い茂った状態で、土中には砂利やコンクリートの塊が大量に埋まり、カシニワとして利用できる状態ではなかった。

この場が利用されるきっかけになったのは、コミュニティ形成に課題を持っていた新若柴町会から柏市に対して、公園設置要望書が提出されたことである。当時は市の財政不足で見送られたものの、カシニワ制度を検討しており、制度の先駆けとして売却予定だったこの敷地を町会へ貸し出された。

つくばエクスプレス開通工事に伴い周辺は区画整理の対象地となったが、この場所は免れ柏市全体で子供の数も増加していることから、子供たちが遊べるような場所にして欲しいと、この土地を所有する柏市から依頼を受けて、この場所に地域の広場が作られることになった。

当初は、放射能に汚染された土を排除し新しい土を入れ替えることから始まった。その後芝を撒き、定期的に整備・管理していった。そして徐々に菜園や花壇を造成し、広場での活動の拠点となる小屋の作成を行い、現在の姿に変容していった。

空間としては、敷地の北部を花壇・菜園ゾーン、南部を芝生広場ゾーンとして利用されている。菜園は、町会の共同農園と個人利用の高齢者農園として区画分けされている。

◯線

防災訓練、親子芋掘り会・鯉のぼりフェスタ・夏祭り・マルシェ・七夕フリーマーケット・野菜詰め放題等のイベントを定期的に開催し、近隣住民同士の交流を行っている。

誰もが近くの公園で使われなくなった池の柵を再利用し、広場に柵の設置や近隣住民の方々の使われなくなった農具・工具を広場で再利用しており、資源を大切に利用している印象であった。

また周辺在住の農業知識者による菜園栽培の指導を行ったり、大工さんの協力の元パーゴラ作りも精力的に行い、広場を充実させている。

また開設当初の2012年には、「ちょい農」と呼ばれる、地元の大学や他の市民団体等との連携した畑の区画も作られた。これは、地元大学の実験スタッフのサポートの元、地域住民が軽作業や収穫物をシェアし、レイズドベッド型の菜園を共同利用する取り組みである。「ちょい農」によって、自由の広場と関わりが薄かった子育て・共働き世代といった若年者の利用が見られるようになった。

◯面

この自由の広場が「カシニワ制度」の先駆けとして、次々と新しいカシニワが誕生している。

概要

参考
・渡部陽介・宮本万里子・雨宮護・寺田徹・横張真:カシニワ制度に基づくコミュニティガーデンにおける公共性(2014)

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