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佐倉研究室合宿2023 in真木集落 その1

こんにちは!修士1年の田畑奎人です!

1ヶ月以上前になってしまいましたが、
11月3日〜5日にかけて長野県の小谷村に位置する真木集落に行ってまいりました!

真木集落はなんと車では行けない集落で、南小谷駅近くの登山口に車を停めて約90分の登山から今回の合宿はスタートしました!

真木集落は1970年頃に一度廃村になった山間集落ですが、1974年からNPO法人の「共同学舎」が集落を活用し続けてきました。
そこに約3年ほど前から、両川厚輝さんがかつて祖父が住んでいた集落をなんとかしたいと、祖父の住居で活動を始めました。
その活動に興味を抱いた川崎光克さんが今年から住み始めたことで、活動が本格化し始めています。

両川さんと川崎さんの2人と佐倉先生は6年前に東大岡部明子研究室プロジェクト、エクアドルの漁村スラム、チャマンガで出会いました。
その縁があり、今回の研究室合宿として本格的な冬が来る前の茅の葺き替えのお手伝いに行くことになりました!

山の木々は美しく色づいており、天気も良かったため、気分は高揚し、
荷物は少し重かったのですがスイスイと山超え谷越え進むことができました。

若干名しんどそうでしたが笑
私たちの体力のなさも痛感させられました。

登った先には本当に真木集落がありました!
少し変かもしれませんが、私たちは現代に山を登った先に集落があるという事も
想像をしても、昔々〜から始まるほど前の状況を連想するため、
最初に真木集落見たときに「本当」にあった!と感じました。

また、家が1つ1つが巨大であることに驚かされました。
この家々はここに住んでいた人々によって作られたものであり、建設に関わる連関が専業化されていないプリミティブな住居であるはずなのに
現在想定されるような家族のスケールを超えた大きさであることに違和感を持ちました。

なぜ大きいのか。その理由は住宅が人のためだけにあるのではないからです。
住宅の中には厩や蚕室が多くの面積を占めます。
普段私たちの住宅内での生活は、私たちの活動だけで完結されますが、
この民家のスケールを体感したことにより、私たちも含むものとの連関の中で、私たちは生きられていることを再認識しました。

今回泊まらせて頂いたのは両川さんの祖父の住居であるこの集落では「中和出(ナカワデ)」と言われる住居です。
養蚕のために2階を増築しているため、茅屋根を一部切り取り生まれたおかっぱ姿のファサードがキュートでした。

美しい山々のなかに自らを置き、三日間を通して真木集落の生活のサイクルに体が順応していく感覚は
とても開放的であり、心が落ち着きました。

ナカワデでは、「ほうじちゃ(以下ほうじ)」という猫と共に暮らしており、私たちがついた時お出迎えをしてくれました。
一歳に満たないながらも、ほうじは人々から愛されるコツを習得しており、私たちは終始ほうじにメロメロでした。

この日のお昼は生姜焼き。みんなで作ってみんなで食べる。
当たり前のことなのに、普段の生活では中々出来ない。
私たちの暮らしのもどかしさを感じました。

お腹を満たし、登山の疲れも癒えたので、午後からは茅の葺き替えを行いました。
今回行っているのは中和出の屋根の約1/4程度の葺き替えで、
共同学者のメンバーとそこに来ていた自由学園の学生と一緒に総勢20名程度で作業を行いました。
昔から葺き替えは毎年一住居の1/4程度を集落総出で行い、
次の年は別の住居の1/4、次の年は別の住居の1/4…と1つの住居の単位では数十年かけて屋根の葺き替えを行うそうです。
年月と必要な人での多さにも家族の単位ではないスケールの大きさを感じました。

上写真:両川さん、 下写真:川崎さん

最初に屋根葺きに用いる茅の結び方を教わりました。
「男結び」と「徳利結び」の2種類の結び方を教わりました。どちらも教えていただく時は簡単そうなのですが、
実際にやってみると全然出来なくて、もどかしさを感じました。
男結びができると徳利結びを忘れ、徳利結びができると男結びを忘れ、両方できるようになるまで
体が覚えるように何度も何度も練習して、やっとできるようになりました。

いよいよみんなで手分けをしながら茅を葺いていきます。
茅はかなり厚い層になっており、層ごとに葺いていくのですが、初めて少し経ってから
茅の葺き替えがいかに地道で労力がかかり、多くの茅が必要になるのかを理解しました。
一番下の層では昔の茅(古茅)を混ぜながら使うことで、茅の節約を行っていきます。

そうこうしている内にあっという間に日が落ち、作業を終え、夕食の準備に取り掛かりました。

この日の夕食は鍋でした。寸胴いっぱいに畑で採れた野菜を入れ、お肉と一緒にぐつぐつと煮込んだ鍋は最高に美味しかったです。


その後に佐倉研究室の紹介と両川さん・川崎さんとの活動紹介をしながら、ざっくばらんに話し合いを行いました。
両川さんの話の中で、真木集落の生活に直接関わる範囲が約1kmあることに驚きました。
人間の生活には余りにも多くの資源を要し、それらの殆どを山(里山)で賄う暮らしのサイクルのスケールに圧倒されると同時に
山のスケールが人々の暮らしのスケールを規定することにも驚きました。
真木集落のかつての集落単位は山のスケールに見合った集落単位であったのです。

少し長くなってしまいましたが、その1はこの辺で区切りたいと思います!

最後まで見てくださりありがとうございます。

その2へ〜

 

 

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