20年間の歴史を持つ「宮崎コミュニティガーデン」。現在の情報だけでなく、20年間続けてきたからこその成果や課題についても、現代表のかわいさんに伺った。
○点
都市計画道路予定地だった未利用地を活用している。
一部でハーブや野菜も育てているが、「花を介した人と人との繋がり」を重視している。
美しいガーデンにすることを重視しているため、利用者ごとに区画分けをするのではなく、皆で話し合いながら全体をデザインしている。かわいさんは、「会員が皆、何らかの形で生き生きと活躍できる場にすることが大切だ」と語っていた。
ガーデンに滞在中も親子が数組隣接する道路沿いを散歩していて、コミュニティガーデンの立地に適していると感じた。
○線
会員の子供達を介して、隣接している小学校との交流が図られてきた。子供達が植物に触れられる場として10年以上交流があったが、コロナ禍により、ここ数年間は交流のない状態が続いている。
これまでに数々のイベントを開催してきた。回数を重ねる度に、イベントに必要な道具は商店街や会員のネットワークで借りることができるようになっていった。またイベントをすることで、普段ガーデンを利用しない方が来てくれて、新たに会員になってくれることもある。
ガーデン内の倉庫もテーブルもほぼ全て知人からの譲り受けたものだというから驚きだ。
○面
宮前コミュニティガーデン実行委員会の母体である「宮前ガーデニング倶楽部」は、宮崎台駅前、宮前駅前、宮前区役所前のアプローチなどの視認性の高い場所でのガーデニングを意識している。宮崎コミュニティーガーデンの小学校に隣接し、斜面地であるため、視認性が高い。地区全域をガーデニングで美化することは困難だが、視認性の高い場所を優先的にガーデニングにより美化させることで、市民の意識を徐々に変えていき、自発的に地区の美化活動に取り組んでもらうような雰囲気作りを重要視しているように感じた。
「駅前で市民の方々がガーデニングしている光景が印象的で、移住先に決めた」と話してくれた方がいて嬉しかった、というかわいさんの話が宮前ガーデニング倶楽部の活動の素晴らしさを象徴している。
また、宮崎コミュニティガーデンを視察し参考にして、他都市で作られたコミュニティガーデンが多数存在している(今宿コミュニティガーデンなど)。
○課題
今後の課題は、会員の高齢化である。世代交代が求められているが、30〜40代の方は仕事優先のため、コアメンバーになってもらえていないのが現状だ。コロナが落ち着いたら、若い方々によって構成されている団体との共同のイベントを開催してみたいと、かわいさんは語っていた。